日本法に準拠して合法であること

大麻取締法と麻薬及び向精神薬取締法による規制

 
日本ではこの二つの法律によって、例外者を除き大麻の所持、栽培、譲渡、さらには研究の為の使用までをも厳しく禁止しています。つまり、大麻取締法で禁止されている「大麻」から除外された部位で作られたカンナビノイドの製品で(部位規制)、且つ、麻薬及び向精神薬取締法で規制された違法薬物を含まないものだけが(成分規制)、日本国内において合法的に流通が可能になります。従って、成熟した茎と種以外から抽出したCBD製品は、そこにTHCを全く含んでいないとしても違法となります。葉と茎を繋ぐ葉脚、葉柄も使用することはできません。もちろん、認められた部位のみから抽出したCBD製品でも、禁止成分のTHCがわずかでも検出された場合は即刻アウトです。また、正式に輸入許可申請を行い、日本税関から輸入許可が下りて、正規に流通したCBD製品であったとしても、実際に日本法に即して合法的に製造されたものであり違法成分を含んでいないということを日本税関が保証、担保してくれるわけではありません。

 

(1)大麻取締法 

                  昭和23年法律第124号

部位規制

第1条 この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。と定義されています。つまり、この法律は植物部位による規制であり、成熟した茎と種子(とそこから抽出された製品)が合法で、花穂、葉、根(とそこから抽出された製品)が違法となるわけです。

第2条 この法律で「大麻取扱者」とは、大麻栽培者及び大麻研究者をいう。⒉この法律で「大麻栽培者」とは、都道府県知事の免許を受けて、繊維若しくは種子を採取する目的で、大麻草を栽培する者をいう。⒊この法律で「大麻研究者」とは、都道府県知事の免許を受けて、大麻を研究する目的で大麻草を栽培し、又は大麻を使用する者をいう。つまり、大麻を所持する免許を取得していない者の大麻の所持を禁止しているわけです。

第3条 ⒈大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。⒉この法律の規定により大麻を所持することができる者は、大麻をその所持する目的以外の目的に使用してはならない。

第4条 何人も次に掲げる行為をしてはならない。 一.大麻を輸入し、又は輸出すること(大麻研究者が、厚生労働大臣の許可を受けて、大麻を輸入し、又は輸出する場合を除く。)二.大麻から製造された医薬品を施用し、又は施用のため交付すること。三.大麻から製造された医薬品の施用を受けること。四.医事若しくは薬事又は自然科学に関する記事を掲載する医薬関係者等(医薬関係者又は自然科学に関する研究に従事する者をいう。以下この号において同じ。)向けの新聞又は雑誌により行う場合その他主として医薬関係者等を対象として行う場合のほか、大麻に関する広告を行うこと。

 

(2)麻薬取締法 
(正式には麻薬及び向精神薬取締法) 

      昭和28年法律第14号

麻薬の定義(第2条)
成分規制       

                                                               
違法薬物としてΔ9 テトラヒドロカンナビノールが規定されています。 (麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令)

「6a,7,8,10a-テトラヒドロ-6,6,9-トリメチル-3-ペンチ ル-6H-ジベンゾ-[b,d]ピラン-1-オール(別名Δ9 テトラヒドロカンナビノール)(分解反応以外の化学反応(大麻取締法(昭 和23年法律第124号)第1条に規定する大麻草(次号において 単に「大麻草」という。)及びその製品に含有されている6a,7,8, 10a-テトラヒドロ-6,6,9-トリメチル-3-ペンチル-6H- ジベンゾ[b,d]ピラン-1-オールを精製するために必要なもの を除く。)を起こさせることにより得られるものに限る。)及びその塩類」

大麻の取締上の整理

カンナビノイドという名の違法ドラッグ

 

カンナビノイドという名の違法ドラッグが市中に出回り、その危険性を理解しない若者が安易に手を出す深刻な状況が依然として存在します。ここではカンナビノイドに関連する用語を整理します。

(1)ヒィトカンナビノイド(phytocannabinoid)
大麻草に含まれている天然由来のカンナビノイドを指します。CBDやTHCが含まれます。大麻草以外から抽出されたCBDは天然CBDと称し区分けされているようです。

(2)エンドカンナビノイド(endocannabinoid)内因性カンナビノイド

“アナンダミド”と“2-AG”と呼ばれる体内に存在するカンナビノイドです。 

(3)合成CBD

有機化学合成で作られた非大麻草由来のCBDのことです。CBDが市場に登場して間もない頃は、THCが含まれていないことがCBD製品を取り扱う上で最も重要な点と認識されていたこともあり、合成CBDであればそのリスクが完全に消去できるという観点から合成CBDが注目されました。しかし、合成CBDを作る際、合成過程の環境や処理に不具合があると、天然のCBDとはわずかに分子配置や結合の仕方が異なる異性体が生じることがあると言われています。原子の数や種類が同じでも、それらの位置が異なる分子は異性体と呼ばれ、各々電子の位置が異なります。 植物由来のCBDは、常に2番目の位置に二重結合がありますが(「デルタ2またはΔ2」)、 CBDが過剰に処理されたり、変性されたり、化学的に合成されたりすると、異なる異性体「タイプ」のCBDが生じる可能性があるわけです。このような天然由来のCBDとわずかでも異なる物質が生体内で安全かつ効果的に働くかという点については、現時点で明確な証明はないようです。

(4)半合成カンナビノイド

植物内にも存在し、化学合成でも生成されるカンナビノイドを「半合成カンナビノイド」といいます。

HHC   :ヒドロキシヘキサヒドロカンナビノール
THCH:テトラヒドロカンナビヘキソール
THCB :テトラヒドロカンナビヘキソール

などが該当します。これらは、天然の大麻草に極々微量にしか含まれていないため、市場に出回る(出回った)ものは全てラボ内にて化学合成された可能性が高く、強い精神作用を持つことから現在では違法成分として使用、販売が厳しく規制されています。

(5)合成カンナビノイド

医薬品を除く合成カンナビノイドは、精神作用を有する人工の化学物質で、危険ドラッグ(新規精神活性物質:NPS)と呼ばれる薬物の一種です。NPSとは違法薬物と同様の効果を得ることを目的とし、違法に流通する精神作用物質のことです。仮にその物質がその時点で具体的な規制対象に含まれていなかったとしても、「精神作用を有する合成された有害物質」という点に何ら変わりはありません。

合成カンナビノイドは大麻草(カンナビス)に含まれる化学成分に似ているため、カンナビノイドと呼ばれているだけで、「人体の恒常性を維持するために有意義なフィトカンナビノイド」や「元々人体に存在する内因性カンナビノイド」とは全く異なる違法薬物です。使用量によっては人体に重篤なダメージを与えることが想定されます。規制対象となっているTHCHを水素化して合成したHHCHを含む製品はまだ販売されているようです。この合成カンナビノイドは強い精神作用があるとされていますが、具体的な規制対象となっていない(2023年9月時点)化合物であるため、引き続き販売されているようです。
合成カンナビノイドについては、人体にどのような悪影響をもたらすか具体的な検証はされておらず、規制対象外の成分であっても安易な使用は控えた方が良いと判断します。

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