大麻取締法改正 続報

今回の法改正について、一部の学会から以下の情報を取得致しましたのでお知らせらせします。但し、記載した内容は、あくまで見通しであり確定内容ではありませんので、その旨十分にご理解賜りますようお願い申し上げます。

今回の法改正案は閣法、すなわち内閣が提出する法案で、根拠となるのは、憲法第72条(「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する」)と、同じく法案の提出と国務・外交関係の報告について定めた内閣法第5条です。すなわち議員立法ではなく内閣法案であり、過去の可決確率状況からして、議員立法に比較して可決される確率はかなり高いと見込まれています。早ければ11月末までには衆参両議院で可決され、発布されたのち1年以内の施行となる見込みです。 

過去、大麻法関連の法改正については、1948年(昭和23年)の麻薬取締法、大麻取締法設定以降、1950年(昭和25年) 麻薬取締法及び大麻取締法の一部改正、1952年(昭和27年) 麻薬取締法及び大麻取締法の一部改正と進んできましたが、今回は大麻草の世界潮流に合わせた70年ぶりの改正となります。すでに改正案は10月24日内閣から衆議院に提出されており、11月10日には有識者会議が開催され、参考人招致が行われた模様です。

法改正の内容は以下の3ポイントと言われています。

  • 大麻草成分の医薬品としての使用、活用を認める。
  • 新たに大麻草の使用罪を設定する。
  • 大麻草の栽培、輸入、医薬品としての製造、使用等について許認可制度(免許制度)を設ける。

栽培に関する、従来同様に都道府県知事の許認可とする第一種免許の他、医薬品相当として生産する場合、あるいは、医薬品として使用する場合に厚生労働大臣の許可を必要とする第二種免許が制度設計される見通しとのことです。つまり第二種免許は国が管理することになります。同時に大学、製薬会社等での研究に関しても厚生労働大臣の許可が必要となると見られています。許可を取得すれば民間機関で大麻草に関する検査、大麻草由来の医薬品製造が可能となるわけです。また、輸入業者が原料(種子や大麻草)を輸入する場合にも厚生労働大臣の許可が必要となると言われています。

また、嗜好目的、快楽目的ではなく、通常のコモディティとして生産された化粧品、食品などの最終製品におけるT H C残留濃度の基準値に関しては、法案が可決された後、施行されるまでの1年間に基準値などについての細則が決定され、省令として発布されるという段階手続きを踏むと想定されています。TH Cの基準値については、植物体における基準値濃度と、食品、化粧品などの製品時の基準値濃度に分けて、異なる二重の基準を設けて管理していくのではないかと言われています。

CBDについては、エピデオレックスのC B D濃度より高いC B D濃度の製品(食品)の取り扱いについて、何かしらの規制がなされるかどうかも懸念事項の一つとなっています。海外ではその観点から食品分野での製品販売に一部規制が掛かったとの情報もあり、法案可決後の細則決定プロセスを引き続き見守る必要があります。C B Dが医薬品の原料として認定されることで、化粧品や食品に使用できなくなることはないのか、化粧品、食品のC B D濃度については、医薬品のC B D濃度を基準にそれ以下に設定されるのではないか、という疑念については、二重の基準を設けて、医薬品としても食品、化粧品としてもC B Dが使用できるようにするのではないかと想定されているようです。

検査については、国内に検査体制の構築を急いでいるという情報があります。国としては、各県数カ所の例えば食品衛生センターのような公的機関で、大麻成分の検査ができる体制を早急に整備していく方向と見られています。

いずれにしても、改正法案が可決されたのち、施行までの1年間で決定される細則の状況を具に見守っていく必要があります。

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